子どもの自立〜〜空の巣症候群   2003/10/26(Sun)

適切に豊に受容されて育つ子どもは、それだけ早く自立の傾向を示します。自立への歩みとは、心理的にも物理的にも親に手間をかける場面が減ってゆく過程です。皮肉なことに親によって早くから外面的な自立を強いられた子どもは、結局のところ自立の時期が遅れてしまいます。外面的な自立を強いられることなく受容されて育った子どもは、あっけないほどスムーズに自立し、親の手を煩わせなくなってしまいます。
もちろんその子その子によって様々ですが「ああ、この子、すっかり手間がかからなくなってしまったなあ」と、親がある種の寂しさを感じるようになるのは、早ければ小学校4年生前後です。その後スムーズな自立が進行するにつれて、親は否応なく、子どもとのかかわりを変化させ、心理的な距離をとらざるを得なくなります。
この変化を受け入れるのは、親にとって必ずしもたやすいものではありません。子どもに対して意を尽くし配慮のあるサポートを重ねたほどに自立が早くなる。つまり子どもを本来の意味で深く愛すれば愛するほどに子どもの自立は早くなる。そのとき、親はこれまで子どもに向けていたエネルギーの振り向ける先を見失いかねません。
子どもが自立に向かう過程とは、そのまま親、とくに母親が自立に向かうべき過程です。大事なのは、子どもから手が離れた分だけ、自分自身の人生を再構築する工夫を重ねることです。趣味、つき合い、仕事などなど、自分自身として楽しめる様々を紡いでゆく日々。そんな親の自立こそが、より深い意味での自立に向かおうとする子どもの心を力づけます。
最後に皮肉な現実を記しておきましょう。過保護・過干渉で育てられた子どもの自立は遅れます。場合によっては自立が不可能になる危険性さえあります。そんな状況において親が「空の巣症候群」に見舞われることはありません。
子どもに自立してほしくなければ過保護・過干渉に徹すればいい。私は過保護・過干渉を重ねているお母さんに、しばしばそんな“警鐘”を鳴らしています。



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