パニック障害とは、広いところにいるときや乗り物に乗っているときなどに「心臓や呼吸が苦しい」などの発作がくり返される心的障害です。また、同じ発作が起きることを恐れて不安がる「予期不安」にもとらわれます。 発作にともなう恐怖・不安は、ときとして大変に激しいものがあり、生命の危機を感じることもありがちです。 そうであるだけに、本人も周囲も、次の点を熟知しておいてください。 パニック障害では、心悸亢進(胸がドキドキする、胸がバクバクする、心臓をギューッとつかまれたような苦痛)、呼吸困難(息苦しさ)、めまい、腹部不快・不調(嘔吐感、下痢、腹痛)、非現実感(頭がボンヤリ、自分だけ別世界にいる感じ)、冷や汗などが現れますが、これらによって死亡したり後遺症が残ったりすることはありません。心の状態を原因として現れる発作であり、体には原因がないからです。 いうまでもなく、心臓、呼吸器、消化器、その他の原因が懸念される場合にパニック障害として対応するのは大変な間違いです。医師の診断を受けることが必須です。 パニック障害から抜け出すためには、心的な安定度を深めることが大切です。周囲や家族の理解と協力を得て、安心できる環境、家族間における豊かで和やかな感情の行き交い、頑張り過ぎない生き方などを考慮しながら過ごし、できるならヨーガや呼吸法を習慣化することで心身の安定を深めるのがもっともよい方法です。もちろん心理カウンセリングを利用されるのも有効な選択肢の一つです。 精神科や心療内科を受診すれば、SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)などを用いる薬物療法も可能であり、即効性が期待できます。ただし、薬物療法は対症療法であり、原則的には薬だけで根治するものではないことも忘れないようにしておきましょう。
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